Opus.青 III ラプソディー・イン・ブルー
≪ラプソディーインブルー≫ ジョージ・ガーシュウィン 1924年
ロシア系アメリカ人のガーシュウィンが作曲したこの有名な曲、
多くの方がテレビやドラマで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
の○めカンタービレでも使われていましたね!
ジャズとクラシックの運命的な融合!と謳われることの多いこの一曲。
20世紀のアメリカは第一次世界大戦での勝利を経て新興国として発展していきます。
その中で新しい文明文化があちこちで開花していくなかで、
ニューヨークではジャズが新しい娯楽として徐々に広がっていきました。
その頃“ジャズ王”といわれていたのがポール・ホワイトマン楽団。
ホワイトマンは彼自身の作品を中心に「近代音楽の実験」という音楽会をニューヨークで開催する予定で、
ジャズに対しての偏見があった当時、どうにかして聴衆を驚かせたい一心で
以前から気になる存在であったガーシュウィンに新曲を依頼します。
それが音楽会の6週間前のこと。
これが伝統芸術であるクラシック音楽と娯楽であるジャズの奇跡的な出会いとなりました。
結果は大当たり、Shymphonic Jazz(交響的ジャズ)という造語まで生まれました。
ここで今回のリサイタルで演奏するモーリス・ラヴェル(水の戯れの作曲者)との素敵なエピソードをひとつ。
ガーシュウィンは伝統的なクラシックの管弦楽法、オーケストレーション(オーケストラ用の作曲/編曲の仕方)を
ちゃんと習得していないことにコンプレックスを感じており、
ヨーロッパを訪ねたとき欧州の偉人たちに弟子入りを志願します。
そのなかでオーケストラの魔術師という異名をもつラヴェルに
『君は一流のガーシュウィンなのだから、
今更二流のラヴェルになる必要はないよ』
と助言したのだとか。
伝統的なものよりも、自分らしさを追求していくことを勧めたラヴェル。
アメリカで生まれたジャズ文化を取り入れることでオリジナリティを確立したガーシュウィンのお話でした!
今回が初めてのジャズへの挑戦です。
クラシック畑の人間からすると、そんなに自由に弾いていいの?!と思うことがたくさんあり、
普段のレパートリーから飛び出て違うものに触れることで
改めて音楽について考えさせられるきっかけともなったこの曲。
当日はアレンジを加えてお届けする予定ですのでお楽しみに!!
最初の低音から高音に駆け上がる音は汽車の発車音をイメージしたのだとか。
電車に乗って、さあ、旅に出かけましょう!