Opus青 II.水の戯れ(たわむれ)
≪水の戯れ/Jeus d’eau≫ モーリス・ラヴェル 1901年
ラヴェルが26歳の時に書いたJeux d’eau。
邦題は”水の戯れ(たわむれ)”とされていますが、
もともとJeux d’eauは16世紀のフランス式庭園にある噴水を意味するそうで、
これはリストが作曲した-巡礼の年第3年-に納められている
“エステ壮の噴水/Les jeux d’eaux a la Villa d’Este”から影響を受け、タイトルにしました。
この曲にはフランス人詩人、アンリ・ド・レニエの詩『水の祭典』から引用した
「水にくすぐられて笑う河の神」という文が添えられていることから、ラ
ヴェルは噴水を表したかったわけではなく、
その中で光に照らされきらめく水の流動を表現したかったのが窺えます。
ラヴェル好みの2度(ドとレ、ミとファといったような隣り合う音)のぶつかりなど
不協和音をふんだんに取りいれています。
タイトル通り水の動きを表すために予測不可能でありながらも
噴水という限られた中で流れる水の動きを
ただただ気着心地の良い和音だけで並べるのではなく、
不協和音を使うことで緊張感を演出しています。
また、長調/短調といった従来的な調性を使わずに無調整に挑んでいるところもあります。
通常の西洋音楽のスケール(ハ長調、イ短調などなど)は
スケール自身の持つキャラクターが大きく影響する為、
それだけで大枠が決まってしまいがちです。
それを避けるためにラヴェルは全音音階(ド-レ-ミ-ファ#-ソ#-ラ#-ド、と1オクターブを6等分した音階の事)を
主とする旋法を使うことによりで独特なメロディラインを作ることに成功!
この調性を希薄させることによって曲の可能性を広げる試みはリストからの影響もありますが、
あまり深くなってしまうと脱線してしまうので今回は割愛します。
私がこの曲に出会ったのは高校生の頃。
初めてのフランス音楽に衝撃を受けました。
譜読み(音を読んでいく作業)の難しさは言わずもがな、、、ですが、
今までにはなかったこの新しい色合い!!
みずみずしい音のきらめき!
一瞬で虜になりました。
右手と左手の至近距離での演奏も、また新鮮….!
あちこちと遊びまわる水のきらめきが
真夏の猛暑を少しでも和らげますように!
Info:
ソロリサイタル -音のパレット vol.1- ≪Opus青≫
2016年07月09日18:30開演(18:00開場)
チケット受け付けております→こちらから